「老後に2000万円必要」の金融庁報告書は、老後の備えの指針に

 先日金融庁が公表した報告書の「老後に2000万円必要」という内容は、大きな話題となりました。しかしこの報告書の本題は、「人生100年時代」といわれる急速な長寿化においてどう“資産寿命(資産が持続する年数)”を伸ばしていけばいいか、というものであり、私たちが老後に備えた資産管理を行ううえで大変参考になる内容です。ここではその報告書が提案する、年代別のマネープランのポイントをご紹介します。

 

  • 「現役期」は、少額からでも長期・積立・分散投資等による安定的な資産形成を

 50代までの現役世代は、老後の準備をするための時間を多く持ち合わせています。その時間の優位性を活かし、少額からでも長期・積立・分散投資等による安定的な資産形成を行うことが有効だと考えられます。積立は長期であればあるほど、投資先は分散させればさせるほど収益がばらつきにくく、リスクをコントロールして一定のリターンをもたらしやすいとされており、現役期での資産形成の有効な手段だといえるでしょう。

 

  • 60歳頃~80歳頃の「リタイア期前後」は、収支計画を具体的に

 退職金が給付される人は、退職前のできるだけ早いタイミングで退職金の金額や形式を確認しましょう。あわせて、公的年金をはじめとする定期的な収入や支出がいくらになるのかも確認し、老後の資金状況が十分であるかどうかを試算しましょう。資産が不十分な場合は、就労の継続や支出の見直し、住宅資産の活用、住居費や生活費が安い地域への移住等、具体的にマネープランを検討します。なお、この時期から長期・積立・分散投資を始めても遅くはありません。

 

  • 80歳頃~100歳頃の「高齢期」は、認知・判断能力の低下や喪失に備えた対応策を

 2025年には65歳以上の約5人に1人が認知症になるといわれており、認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる時代となります。認知・判断能力が低下すると計画的な金銭管理が難しくなる場合があり、将来の備えを早々に取り崩して使ってしまうなど、資産寿命を短縮させる事態も起こりうるといえます。対応策としては、金融機関との取引内容を整理・シンプル化して管理しやすくする、使い過ぎを防止するために限度額を設定する、等が挙げられます。同時に、認知・判断能力を喪失したあとも周囲がサポートできるように、早いうちから金融資産の管理方針(運用・取り崩し、財産の使用目的、遺産相続方針等)を決めておくといいでしょう。

 

 同報告書は金融庁のホームページから自由に閲覧できますので、この機会にぜひ一読して、老後の資金計画について考えるきっかけとしてみてください。

 

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html